パン酵母

偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌の違い!それぞれの特徴や種類は?

今回は、偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌について。

これは、簡単なイメージ

  • オールマイティになるか(ゼネラリスト)
  • 専門を極めるか(スペシャリスト)

みたいな感じです。

偏性嫌気性菌は、簡単に言うと、
酸素がない状態で生きることをとことん極めた微生物。

私たちと正反対です。

そして、通性嫌気性菌は、
酸素があってもなくても生きていける微生物。

両方いけるってこと。

そんな生き物が、地球上にはたくさんいます。
どこに、どんなのがいるんでしょうか?
実は、私たちの身近にもいるんですよ。

他にも、
絶対嫌気性菌と通性嫌気性菌とは何が違うのか。

とっても簡単にわかりやすくお伝えします。

 

偏性嫌気性菌とは?

まず偏性嫌気性菌(へんせいけんきせいきん)は、
酸素がないところでしか生きられない微生物です。

 

では、
酸素がどれくらい少なければいいんでしょう?

これが、少しでもあると死んじゃいます。

厳密には、
0.2%以下の酸素濃度で線引きされてるみたいです。

 

酸素があると死ぬ?
信じがたいですが、その理由をご存じですか?

それは、酸素が実はとっても有毒だからです。
なので、少しでも体内に入ってくるとアウトという。。

 

もう少し詳しくいきますね。

 

まず私たち人間は?
酸素を吸っても大丈夫。
むしろ、酸素がないと死んじゃう。

 

では、人間はなぜ酸素を吸いますか?
それは、エネルギーを作るため。
酸素を体に取り入れ、エネルギーに換えています。

 

ただ、エネルギーを作る過程で、過酸化水素というのが作られる。
この過酸化水素は、とっても毒性が強い。

なので、私たちは、この過酸化水素を除くための酵素を持っています。

 

そう、私たちは、呼吸をするために、
過酸化水素用の酵素を手に入れたのです。

 

進化って本当にすごいですよね。。

 

昔昔は、微生物はみんな嫌気性菌でした。
発酵や嫌気呼吸をしてエネルギーを作ってたんです。

でも、それはむしろ当たり前というか。
なぜなら32億年前までは、地球に酸素がなかったので。
むしろ、嫌気性菌の王国。

 

でも、光合成によって酸素を作る生物があらわれたんですよ。
あらま大変。

そこで、嫌気性菌は、究極の二択を迫られます。
(なぜかナレーション口調)

・酸素に適応する
・酸素がないところで生きる

 

このどっちもできなかった生物は絶滅しました。

そして、活性酸素用の酵素をもった生物が進化し。
私たち人間に至っているという。。

 

実際、嫌気性菌と人間の4つの塩基は同じです。
さらに、
酵素や代謝の方法なんかも、ほとんど同じなんだとか。

 

だから、今みつかっている偏性嫌気性菌は、
酸素がないところで生きるという選択をした微生物。

 

その中でも、
酸素がないところにたどり着いた微生物。

微生物は1㎛くらいでかなり小さいので、
1m移動するんでも大変な長旅なんです。

 

う~ん、そうなると、こんな疑問が。

じゃ、偏性嫌気性菌て、
地球のどこにいて、どんな種類がいるんでしょうか?

偏性嫌気性菌の種類

偏性嫌気性菌の代表的な微生物は、

  • 破傷風菌
  • ボツリヌス菌
  • クロストリジウム
  • メタン生成細菌

などでしょうか。

 

こうみると、細菌と古細菌ですよね~。
原核生物ばかりで、真核生物はいませんね。

でも、これはあくまでも今現在は。
まだ見つかってない微生物がうじゃうじゃいます。
どんなのが出てくるか分からないんです。

 

だって、偏性嫌気性菌て酸素がないところにいるんですよ。

代表微生物をみても、
沼の底とか、土壌の奥の方とか、動物の消化官の奥のほう。。
やっぱり深海にもいるんでしょう。

 

何か病原菌だとか、
逆に抗生物質になる代謝産物をつくるとか。

そういう探す理由がないと、誰も探さなそうじゃないですか?

 

趣味でも、なかなか。
てか、趣味レベルじゃ、酸素がないところに行く道具とかないですしね。

おそらく、まだ見ぬ偏性嫌気性菌はたくさんたくさんいることでしょう。。

 

と、ずっと偏性嫌気性菌って言ってきてますけど、
酸素があると死んじゃう微生物を表す名称は、
本によっては、何個か種類がありました。

 

ま、読者に伝わればいいんだと思うので、別にいいとは思います。
が、やっぱり聞かされる側からするとわかりづらい。

そこから、よく聞く疑問について。

 

絶対嫌気性は一緒ですか?

はい、一緒です。

 

ちなみに、

この偏性嫌気性菌と絶対嫌気性菌、
簡単に嫌気性菌とだけ呼ばれることがあります。

というのも、
もともと前の2文字(偏性と絶対)は、
通性嫌気性菌と区別するために付けているそうなので。

 

だから、
酸素があると死んじゃう微生物の呼び名は

  • 嫌気性菌
  • 偏性嫌気性菌
  • 絶対嫌気性菌
  • 絶対的嫌気性菌

などがありました。

分かりやすくしてるはずが、逆に複雑。。

 

というか、
そもそも通性嫌気性菌てのがあるから付けられただって?!

じゃ、通性嫌気性菌て何者ですか?となります。

 

ということで、
次は、通性嫌気性菌とは何かについてお話します。

通性嫌気性菌

通性嫌気性菌とは、どんな菌でしょう?

 

まず、通性嫌気性ってなんだかご存知ですか?

簡単に言うと、
酸素があってもなくても生きられるということです。

通性嫌気性菌は、そんな微生物。

 

この通性嫌気性に対して、

  • 酸素がないところでしか生きられない事を偏性嫌気性
  • 酸素があるところでしか生きられない事を好気性

っていいます。

 

ちょうど、呼吸の方法でも、
好気呼吸と嫌気呼吸っていいますよね。

好気は酸素を使う、
嫌気は酸素を使わない呼吸。

これと同じです。

 

で通性嫌気性は、好気性と嫌気性の中間らへん

 

中間らへんには、
他にも微好気性ってのもあります。

酸素があるかないかじゃなくて、
酸素が少しあるところで生きられる微生物。
乳酸菌なんかがそうです。

 

この、まぁまぁ真ん中へんには、他にもいくつか分類がありました。
でも、大体この辺がメジャーです。

 

そしてさらに、
通性嫌気性の中にも、また種類があります。
その辺は、次の代表例と一緒に紹介するとして。

 

そもそも、
なんで酸素に対する反応で細かく分けるの?
ちょっと、疑問に思いませんか?

これ、こうも取れるんです。
酸素というより呼吸の方法で分けてる

 

どういうことかと言いますと、
私たちが酸素を吸うのは、
エネルギーを作るのに酸素が必要だからです。

そして酸素を使えると、
使えない場合より効率よくエネルギーを作れます。

好気呼吸と嫌気呼吸の違いで、
その差はなんと20倍

 

だから、
生物は出来ることなら酸素を使って呼吸したい。
そうすれば、
20倍のエネルギーを使って、20倍の生き方ができる。

 

だから、酸素を使えるかどうかで分ける。
これは、

  • 進化を考えたり、
  • 微生物の能力を知る

指標になります。

では、この通性嫌気性菌。
エネルギーを作る方法で分けると、どんな種類があるんでしょうか?

というか、
通性嫌気性菌には、どんな微生物がいるんでしょうか?

 

通性嫌気性菌の代表種

通性嫌気性菌で代表的な微生物は、

  • パン酵母
  • 大腸菌
  • 脱窒菌(脱窒する微生物の総称)

などでしょうか?

 

偏性嫌気性菌だと、
細菌と古細菌の仲間ばかりでしたよね。

でも、
通性嫌気性菌の中には酵母が含まれます

この酵母は、真菌。
カビやキノコの仲間ですね。

 

何が言いたいかと言うと、
偏性嫌気性菌と違って、真核生物も仲間入りしてるってこと。

ただ、この酵母の性質も珍しいようで、
細菌と真菌の中間の存在だと言う専門家の方もいました。

 

この酵母は、酸素があれば呼吸をします。

そして、酸素がなければ発酵をします。
みなさんもよく知っている、アルコール発酵ですね。

つまり、
酸素があってもなくても生きれて、
かつ、
呼吸も発酵もできる微生物の代表種です。

 

では、
それ以外の代表種についても少し触れますよ!

 

次は、大腸菌。
消化管の中で、大腸って1番最後ですよね。

なのでさすがに、もう酸素無いんじゃないか。
酸素があっても生きられる能力必要なの?
と思ったので調べてみました。

 

そしたら大腸菌て、
動物の体の外に出てからも、生きられるんだそうです。

といっても、
胞子っていう状態でなら可能ってことらしいですが。
それなら、通性嫌気性菌であるにこしたことはない。

この大腸菌も、
簡単に言えば、酵母と同じで呼吸と発酵を使い分けます。

 

通性嫌気性菌は、本当に突っ込みどころがまんさいで。
脱窒菌については、もうあっぱれですよ。

脱窒菌て亜硝酸菌とか硝酸菌のことです。

 

この微生物は、
硝酸や亜硝酸があれば、生きていけちゃう。
酸素がなくても。
これを、硝酸呼吸っていいます。

 

すごい進化ですよね。

なんていうか、ニッチを攻めたなぁって思います。
そして脱窒菌がいるから、
地球の物質循環がスムーズなわけで。

 

人間の仕事に例えたら、
すんごい専門的な仕事だけど、絶対ないといけない仕事。
これからの時代、そんなポジション欲しいです。

 

そして、
代表種にはあげませんでしたが、
連鎖球菌も通性嫌気性菌です。

 

この連鎖球菌は、
酸素があってもなくても発酵だけをします。

 

つまり、今紹介したのをまとめると、

  • 酸素があると呼吸をし、ないと発酵をする
  • 酸素があると呼吸をし、ないと独自の呼吸をする
  • 酸素があってもなくても、発酵をする

というパターン。

 

もはや、なんでもあり。

そして多分ですけど、
本当はもっと色んな進化がりそうですよね?

 

ここから想像できることは?
恐らく今いる通性嫌気性菌は、
種の生き残り戦争に勝った微生物だってこと。

そして、
まだまだ見つかっていない微生物は沢山います。

なので、
もっと色んなパターンが今後出てくるかも??

 

これはあくまで、
私のただの推論で、なんの根拠もありません。

でも、
ある日突然ペニシリンみたのが見つかって。
世の中の役に立っちゃう。
そんな微生物がたくさん出てきてほしいです。

 

では、偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌がわかったところで。
これもよく聞く疑問。
両者の違いって何なんでしょう?

 

偏性嫌気性菌と通性嫌気性の違い

偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌。
この2つは、大分違います。

 

偏性嫌気性菌とは、
酸素がないところでしか生きられない微生物のこと。

一方、通性嫌気性菌は、
酸素があってもなくても生きられる微生物のことです。

 

だから、もはや全く別物。。

 

なので、
偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌の違いはどこか?

やっぱり1番は、
酸素があっても生きていけるか?でしょう。

 

そして、
その違いを作ってるのが、酸素に対する体のしくみ

 

  • 偏性嫌気性菌は、酸素があると死んじゃいます。
  • 逆に通性嫌気性菌は、あっても生きていける。
    なんなら発酵より効率のいい、呼吸まで出来ちゃう。

この違いってなんでしたっけ?

 

それは、
活性酸素を除くための酵素を持っているかどうか

 

残念ながら偏性嫌気性菌は、
その酵素を持っていないんですよね。。

ただ、
持ってないから劣っているかは、正直分かりません。

もしかしたら、長い目で見たら、
偏性嫌気性菌のほうが生きるのに適した地球になるかもしれない。。
今の地球は、大昔の環境に戻りつつありますからね。。

 

そう、進化は戦略でもあります。

違いという所からみると、
例えば住む場所も違うはずです。

でも、この辺は正直あんまり調べられていないというか。。
基本、人間に影響しないと誰も研究しないですからね。。

 

それぞれの微生物の生きるための戦略なんて、
とっても気になるところです。

もし、論文なんかで見かけたら、紹介できたらなって思います。

 

と、長々書いてしまいました。

最後にまとめて終わりにします。

 

まとめ

まず偏性嫌気性菌とは、

  • 酸素がないところでしか生きられない微生物
  • 活性酸素用の酵素をもたないので、酸素に触れると死ぬ
  • 嫌気呼吸・発酵でエネルギーを作る

そんな偏性嫌気性菌の代表種は、
破傷風菌、ボツリヌス菌、クロストリジウム、メタン生成細菌など

また、

  • 偏性嫌気性菌と絶対嫌気性菌は同じ
  • 他にも、いくつか呼び名がある

次に通性嫌気性菌とは、

  • 酸素があってもなくても生きられる
  • 好気性と嫌気性の中間らへん
  • 活性酸素用の酵素を持っているので酸素呼吸ができる

そんな通性嫌気性菌の代表種は、
パン酵母、大腸菌、脱窒菌など

偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌の違いは、

  • 酸素があっても生きていけるか
  • 活性酸素を除くための酵素を持っているか

それにしても、
うらやましい能力を持った微生物が多い。
わたしカナヅチなので、
通性嫌気性菌とか尊敬しかないですよ。。

 

今回の参考文献はこちら

アルコール発酵の化学式と実験!反応式と酵母!化学と生物!

アルコール発酵は、化学でも生物でも出てきます。

化学だと、化学式があって、実験で確かめて。。。
生物だと、反応式があって、発酵の流れを理解して。。

いったいなんなのさ!

でもこれって、アルコール発酵に2つの見方があるってこと。
パンやお酒は、酵母が発酵をすることでできる。

  • 発酵って酵母はどうやってんの?が生物だし。
  • パンやお酒はどうしたらできるの?が化学。

分けないで、一緒におさらいしてみたら、
お互いが関係しあって、いい感じでまとまる。
まあそうだよね、だって同じ発酵のことなんだもん。

ということで、

  • 実験からわかることや
  • 反応式・化学式からわかる事

難しいの抜きでまとめてみましたよ。

 

アルコール発酵の化学式

アルコール発酵の化学式はこれですね。

グルコース → エタノール +二酸化炭素

 

1個のグルコースが、
2個のエタノールと2個の二酸化炭素に分解される。

この式に、元素の重さを当てはめる。
すると、それぞれの量が計算できます。

 

例えば、、

  • グルコース何gをアルコール発酵したら、エタノールは何gできる?とか。
  • アルコール濃度何%のワインを作るには、糖分何%のブドウが必要か?とか。

 

実際にお酒の会社とかで使われてそうな計算ができるんですね。

にしても、文章にすると難しそう。
でも、数字を当てはめれば簡単。

 

落ち着いてやっていきます。

それぞれの原子量はこれ。
炭素Cは12、水素Hは1、酸素Oは16。

 

そうするとグルコースの分子量は180です。
炭素が6個、水素が12個、酸素が6個含まれるので。
(炭素6×12 + 水素12×1 + 酸素6×16ですもんね。)
掛け算と足し算で出せるのとか助かります。

 

同じように、エタノールと二酸化炭素の分子量も計算すると?
エタノールが92。
二酸化炭素が88。

 

これって、簡単に言うと、

180gのグルコースを使うと、92gのエタノールと88gの二酸化炭素に分解されるってことです。
作りたいアルコール濃度の約2倍のグルコースが必要なんですね。

 

そういえば、この前ワインを買いました。
普段飲まないので、何がいいのかわからない。

でも、ちょっと自分でも気持ち悪かったけど、化学式で考えましたねー。
うわ、今、化学式思い浮かべた?ってなりましたけど。

 

~~~~~。

作りたいアルコール濃度の約2倍のグルコースが必要だったな。
なら、アルコール濃度が10%のワインをつくりたいときは?
糖分20%のブドウが必要ってことか。
(ブドウがグルコースにあたります)

じゃぁ、アルコール濃度が5%のワインは?
糖分10%のブドウが必要。

~~~~~。

 

糖分20%のブドウと糖分10%のブドウ、
普通に食べたらどっちのほうが美味しそうですかね。。
味覚って人それぞれですけど、まぁ大体20%ではないでしょうか?

 

ブドウは糖分が高くなれば、作るのが大変になっていきます。
そして、美味しいワインの産地は、糖分が高いブドウの産地だったりします。

なので、アルコール濃度が高いのを買うのがよろし?

 

結局、
気に入ったラベルのを買ったんですけど。
ある程度絞り込みに使えました。

アルコール発酵って、実際にお酒を作るのに使われてますよね。
実際に使われている知識って、まだ勉強する気がでます。

 

もちろん、学校で実験なんかもしますよね。
あ、だからといって、お家で気軽にアルコールを発酵させちゃダメですよ!
アルコールを作るのには国の許可が必要なので、違法になっちゃいますから。

てか、器具をそろえるのも面倒なので、今回は脳内で実験してみます。

 

アルコール発酵の実験

さて、実際にアルコール発酵の実験をします。

 

実験で出る結果は、失敗しなければこれになるんですよ。

グルコース → エタノール + 二酸化炭素

1個のグルコースが、2個のエタノールと2個の二酸化炭素に分解される。

 

結果はわかっているので、実験で起こったことから何がわかるか?
化学式=起こったこと
これを説明できるかが問題です。

 

 

さて、
多分用意されているグルコースにあたるものは、ブドウやリンゴ。

なんでなんでしょうかね?
別にお米や麦だって、日本酒やビールになるじゃないですか。

 

それは、実験が面倒だから。

そんな理由ではないですけど、理由はあります。
お米や麦って、デンプンなんですね。

で、アルコール発酵で使うには、
先にデンプンをブドウ糖(グルコース)に分解しないといけない。
(この処理を糖化って呼んでます。)

 

でも、ブドウやリンゴはブドウ糖を含んでるので、糖化の必要がないという。
即効で実験が始められるって訳です。

 

例えば、今回はブドウを使っていきます。
(引き続き、脳内実験です。)

ブドウをしぼって、果汁(かじゅう)に酵母を加えます。
そうすると、発酵が始まります。

 

この時、温度を変える実験をしたりします。
この実験で、この反応は酵母がやっていることだと確認できます。

 

ちなみに、
ご存じかと思いますが、ブドウは放置したら腐ります。
何もしなければワインにはならない。

このブドウを、
エタノールと二酸化炭素に分解するためには、酵母が必要です。
(酵母がなぜアルコール発酵をするのかは、あとの方でお話してます。)
さらに言うと、酵母の持っている酵素がせっせこ働いて分解します。

 

酵母は微生物なので、れっきとした生き物です。
私たちと同じ真核生物ですので、同じ細胞でできているんです。

 

私たちの体の中にも酵素があって、せっせこ働いてくれていますよね。
私たちの平均的な体温は何度でしょうか?
だいたい36℃くらい。
おそらく酵素はこの辺の温度であればせっせこ働いてくれるんですよ。

 

では、実験に戻ります。
0℃と40℃の中で発酵させる。
どっちが反応が活発だと思いますか?
もうお分かりですよね。
40℃です。

 

ちなみに、実際にワインを作る場合は、20℃~30℃みたいです。
40℃だと、快適すぎて、ほかの微生物もせっせこ働いちゃって。

さらに、温度を低くするだけじゃなくて、
雑菌を抑えるために、亜硫酸というのを加えるらしいです。

 

実験では、1分おきに、気体の発生量をはかりますね。
いつまで量っていればいいんでしょう?

化学式を見ると、エタノールも二酸化炭素も、グルコースの半分の量でしたね。
なので、最初に発酵させた液体の、だいたい半分の量が量れたらです。

 

量り終わったら、発生した気体のにおいをかぎます。
これは、その気体がエタノールかを匂いで確認するためです。
消毒液のようなにおいがしたら、エタノールなんじゃない?ってことです。

 

エタノールが発生したのはわかりました。
では、残るは二酸化炭素が発生したかで終わりです。

どうやって調べましょうか?

 

だいたいが、水酸化ナトリウムを加えます。
なんででしょう?

これ簡単な話ですが、少し面倒で。
ヒトの感覚で感じれるまでに、3段階あります。

  1. 水酸化ナトリウムと二酸化炭素が反応して炭酸ナトリウムになる
  2. 炭酸ナトリウムは水に溶けやすいので、水に溶ける
  3. 気体が水になるので、その分、発酵管の中の圧力が下がる

3)を感じるために、わざわざ管の口を、指で蓋(ふた)するんです。

 

何を感じるかというと、圧力が下がるので、指が吸い込まれる感じになります。
ヒトは、気体がみえないですからね~。
こうやって感じて初めて、二酸化炭素がそこにいたことを確認できるんです。

 

さて、脳内で実験が終わりました。

これで、この化学式を理解できました。

でも、見落としちゃいけないところがあるんです。
それは、「→」の部分ですよ。
なんで、エタノールと二酸化炭素ができるのかって、そこの部分。

 

そここそが、アルコール発酵。
「→」の間に起こっていることを、
反応式を見ながらみていきましょう。

 

 

アルコール発酵の反応式

アルコール発酵の反応式はこれですね。

そもそも、なぜ酵母はアルコール発酵をするのかご存じですか?

 

それは、エネルギーを得るためです。

このエネルギーは、
動いたり、体を作ったりという、生きるための活動に使われます。

つまり、発酵をしないと酵母は死んじゃうんです。
そして、酵母の場合、
作るものがエタノールなのでアルコール発酵っていいます。

さてでは、
生き物が、糖分などを分解してエネルギーを得るのには2つの方法があります。

・呼吸系
・発酵系

 

どちらも、有機物を簡単な物質に分解する過程でエネルギーを得ます。

この2つの違いは、酸素を使うか。
使うのが呼吸で、使わないのが発酵です。

 

アルコール発酵の場合、
まず1つのグルコースを2つのピルビン酸にまで分解。
この過程でエネルギーを作ります。

ちなみに、
この過程は解糖系といいまして。
呼吸も発酵もここまでは同じです。

なので解糖系は、
私たち人間も含め、全部の生き物が持っています。

 

そして、ここから酸素を使うのが呼吸です。
でも、今回はアルコール発酵なので、酸素は使いません。

 

では酵母の中で、
どんなことが起こっているのでしょうか。

 

まず、酵母がグルコースを取り込みますね。

先に書いたように、グルコースは解糖系でピルビン酸に分解されます。
この時に、エネルギー(ATP)とNADH2が2個ずつ作られます。

 

でもこの解糖系も、NADH2がたまると止まります。
エネルギー(ATP)が作られなくなってしまうんです。
なぜかというと、NAD+がなくなっちゃうから。

 

少し詳しく話すと、

酵母の中の酵素が、グルコースを分解するんでしたね。

NAD+とNADH2は補酵素といって、この酵素を助ける働きをします。
酵素は、補酵素がないと働けないんです。

また補酵素は、
酵素の分解工場と分解工場の間をつなぐ働きもします。
なので、
補酵素がないと、次の分解に進めないんです。

 

発酵って本当によくできていて、
補酵素は、NAD+とNADH2の2つだけで回しています。

NAD+がNADH2になって、NAD+に戻って、またNADH2になって。。と。

私のイメージでは、
2人の出来のいいバイトだけで、仕事を回してる感じ。

 

そこで、
このたまったNADH2をNAD+に戻す必要がでてきます。

どうするかというと、
酵母はまず、
ピルビン酸をアセトアルデヒドにするんですね(脱炭酸)。

この時に、
二酸化炭素ができて、そのまま体の外に出ちゃいます。

だから、
最後に残るものとして化学式にも出てきますよね。

次に、このアセトアルデヒドを、NADH2を使って(還元)エタノールにします。
この反応で、NADH2は酸化されるので、はれてNAD+にもどります。

そして、NADH2もたまらず、NAD+に再利用されるようになります。

補酵素が回るようになれば、解糖系も続けることができる。
発酵を続けることができるんですね。

 

ちなみに、
作られたエタノールは、体に毒なので体の外に出されます。
だから、最後に残る物質なので化学式にも出てきます。

これを簡単にいうと、

アルコール発酵は、

  • グルコースをピルビン酸に分解した後、
  • ピルビン酸を(脱炭酸して)アセトアルデヒドに分解し、
  • アセトアルデヒドをエタノールに(還元)する反応です。

 

こうみると、
酵母は解糖系で作ったエネルギーだけで生きてるんですね。

 

解糖系で作れるエネルギーってどれくらいかご存じですか?
2ATPなんです。

これって、少ないんでしょうか。
すんごく少ない。

仮に、呼吸ができれば、38ATPを作れます。
約20倍のエネルギーを1回で作れる。。

 

そう考えると、2ATPって、なかなか省エネな生き方です。

なぜ酵母は、アルコール発酵をすことにしたんでしょう?

エネルギーを作る手段に、
アルコール発酵を選んで幸せだったんでしょうか。。

次は、酵母の側から、
アルコール発酵をすることについてみてみます。

実は、酵母は呼吸もできるって言ったら混乱しますか?

 

酵母がしていること

酵母の住んでいる微生物の世界。
そこには、酸素があると死んでしまう微生物がいます。

酸素って、実は毒性が強いんです。
だから、酸素を分解する酵素を持っていないと生きていけない。

 

じゃあ、酵母はその酵素を持っていないのでしょうか?

これが、持ってるんですよ。
なので、普通に呼吸もできるっていう。

酵母は酸素があれば、
38ATPをゲットできる生き物なんです。

 

え、アルコール発酵しないでいいじゃん。
って思いませんか?
2ATPしかゲットできないんだから。

 

でも、こうも考えられる。
酵母は、
呼吸もできるし、アルコール発酵もできる。

 

これって、酸素があるところでもないところでも生きられるってことなんです。

凄くないですか?
なんなら、私たち人間よりもすごいですよ。

 

そんなすごい酵母は、生育範囲が広めです。

酵母は、ある意味どこにでもいます。

なので、
条件がそろえば、自然の状態でもアルコール発酵してます。

だから、人類が作った最初のお酒はワインなんじゃないか説。
最初は、ブドウの表面に住んでいる酵母を使ってはじめられたとか。
紀元前7000年ごろらしいですよ。

 

でも今は、ちゃんとした売り物としてワインを作る。

どの微生物よりも優先して酵母が生きられるように、
環境を作ってあげないといけない。

なかなか難しいですよ。

というか、
酵母からしたら、別に自分のエネルギーを作ってるだけ。
エネルギーを作ったら、エタノールができて、なぜか人間が喜んでる。
そんな図です。

 

そう、幸か不幸か、
アルコール発酵を人間が利用し始めたんですよね。

特に、
出芽という方法で増えるパン酵母はよく知られています。

このパン酵母は、強めのアルコール発酵の能力があるんです。
なので、それを知った祖先は、酒造りやパン作りに利用してきました。

 

幸運なのは、
パン酵母として人間に使われている間は、少なくとも絶滅の心配がないこと。

特に有名な、サッカロマイセス・セレビシエというパン酵母は安泰(あんたい)でしょう。

もしかしたら不幸な点は、
呼吸もできるのに、人間の都合でアルコール発酵をすること。
死にそうな環境で、少ないエネルギーで生き延びているんです。

何か書いてて申し訳なくなります。。

 

でも、救いなのは、酵母の寿命が短いことです。
酵母はだいたい20回分裂(正確には出芽)すると寿命がくるんだとか。
2つに分裂するのにかかる時間は、パン酵母だと90~120分だそうです。
120分×20回だと、約1日で寿命が来ることになります。

 

酵母はたぶん、
分裂して子孫を残すことに一生懸命で、呼吸の方法なんて気にしていない。
そうであってほしいです。
(そもそも感情がないので、心配いらないですけどね)

 

ということで、
化学から生物の分野へ。
さらに、マニアックな微生物学までかじってしまいました。

最後に、まとめて終わりにします。

 

まとめ

まずは、アルコール発酵の化学式。

この式から量の計算をしました。

次に、ぶどうを使って実験しましたね。
結果はわかっているので、
化学式=起こったこと
これを説明できるかが問題なんでした。

そして、アルコール発酵の反応式。


酵母が何をしているのか?のお話でした。

最後に、
酵母にとってアルコール発酵は何なのか?
酵母の生態なんかと合わせて紹介しました。

アルコール発酵について本当は、
バイオ燃料とか、お酒のつくり方とか、まだいろいろ書きたいですけど。。

またの機会にお話しできればいいなと思います。

 

今回の参考文献はこちら