グラム陽性菌とグラム陰性菌の違い!種類や細胞壁の構造!

グラム陰性菌とグラム陽性菌。
違いは何でしょうか?

最たるものは、細胞壁ですよね。

そしてこの違いで、
農薬なんかの抗生剤の効き方が違ってくるという。
知ってましたか?

これは、どうしてなんでしょう?

この辺の疑問を解決するには、
グラム陰性菌の細胞壁の構造から入るのがおすすめです。

だって、
違いを生んでるのはグラム陰性菌のアレだから。

グラム陽性菌と陰性菌の細胞壁。
その構造は?特徴は?
どんな細菌が属しているの?

グラム染色で染まるかどうかで分けられた2つ。
でも結果的にこの分け方は、
他のどんな分け方よりも価値がある気がします。

私たちの生活に意外と重要。
そう思えてくるグラム陽性菌と陰性菌のお話です。

 

グラム陰性菌の細胞壁

細胞壁は、グラム陰性菌の特徴の最たるものです。

この構造が、いろいろな反応のもとになっている。

ということで、

  • どんな構造をしているのか?
  • 何が特徴的なのか?

について、分けてお話していきます。

細胞壁の構造

グラム陰性菌の細胞ないと外の間の断面図。
こんな感じです。

めちゃめちゃ簡単に書きましたが。

  • 一番外側が、脂質の膜の外膜。
  • 次に、多糖類で薄いペプチドグリカン層。
  • ペリプラズムと呼ばれる空間を挟んで、
  • 最後に、脂質の細胞膜(内膜)がある。

 

グラム陰性菌の場合、
外膜とペプチドグリカン層が、細胞壁にあたります

 

細胞膜は、一番内側の膜だけを指す。

この細胞膜のつくりは、全生物でほとんど同じ。
厚さは8㎚くらいだし、その役割も一緒。

 

では、他の生物と違うところは?
グラム陰性菌の特徴をお話していきましょう。

 

細胞壁の外膜に特徴あり!

グラム陰性菌には、外膜なるものがあります。

この外膜の成分は、リン脂質。
で、その脂質に、リボ多糖とリボタンパク質が点在している感じ。

この大量のリボ多糖は、外膜の特徴です。

 

その外膜の内側にあるのが、ペプチドグリカン層。

このペプチドグリカン層は、陽性菌も持ってます。
つまり、細菌の細胞壁に共通してあるもの。
(マイコプラズマなど一部、例外はあります。)

 

ペプチドグリカンの成分と構造は、
多糖にペプチドが網目のように織り重なる網目構造。

そして、このペプチドグリカンが、
細菌の細胞壁に強度を持たせています

 

細菌の場合、特に強度は重要で。
細胞壁がないと細菌は死にます。

理由は、浸透圧が高いから。

何というか、
細胞の中から外に向かっての圧が、ハンパないんですよ。

 

だからもし、細胞壁が破れたり穴が開いたら?
細菌は、自分の浸透圧に負けて壊れます。

 

それなら、
ペプチドグリカンは多いに越したことはないですね!

グラム陰性菌は、
どれくらい持っているんでしょうか?

 

グラム陰性菌の場合、
細胞壁全体に占めるペプチドグリカンの割合は数%

え?なんか、心もとない感じがします。

でも、大丈夫。

ペプチドグリカンは少ないけど、
その代わり、彼らには外膜があります。

え、外膜って壁じゃなくて膜でしょう?
と、甘く見てはいけません。

 

なぜなら、
外膜の成分リボタンパク質がペプチドグリカンと結合するんですよ。

そうすることで、
かなり安定した構造を保てるという。

 

さてグラム陰性菌の特徴は、

  • リボ多糖たっぷりの外膜
  • とっても薄いペプチドグリカン層
  • 外膜の成分が結合して補強

でしたね。

 

では次は、
グラム陽性菌の細胞壁について。
それぞれを見ると、おのずと違いが見えてきます。

 

グラム陽性菌の細胞壁

グラム陽性菌の細胞壁にも、かなり特徴があります。

ということで、また

  • どんな構造をしているのか?
  • 何が特徴的なのか?

について、分けてお話していきます。

 

細胞壁の構造

グラム陽性菌の細胞内と外の間の断面図。

こんな感じです。

(また簡単なイラストでごめんなさい。)

グラム陽性菌の場合、
一番外側には、分厚い細胞壁があります。

これは全て、ペプチドグリカン層です。

成分は、

  • ペプチドグリカン
  • タイコ酸
  • 多糖

 

そして間に、
ペリプラズムと呼ばれる空間が挟まっている。

 

で最後に、細胞膜がきます。

 

構造が分かったので、次は、
グラム陽性菌の特徴をお話していきましょう。

 

細胞壁の厚さに特徴あり!

グラム陽性菌には、
かなり分厚い細胞壁があります。

 

しかも、
細胞壁はペプチドグリカン層100%。
つまり、
分厚いペプチドグリカン層があるってこと。
(くどいですが、ポイントなもので)

 

ペプチドグリカン層は、

  • 細菌の生存のため
  • 細胞の強度のため

に必須なんでしたね。

 

ではグラム陽性菌は、
どれくらい持っているんでしょうか?

 

グラム陽性菌の場合、
細胞壁全体に占めるペプチドグリカンの割合は40~70%

うん、ま~ま~有る。
そりゃね、細胞壁の厚さがウリですもん。

 

でも、グラム陽性菌はそれだけじゃない。
割合もさることながら、密度もすごいんです。

 

ペプチドグリカンの成分と構造は、
多糖にペプチドが網目のように織り重なる、網目構造。

密度を決めるのは、この網目。

 

今回の場合だと、
多糖を柱としたら、ペプチドが枝。

それで、
柱である多糖から、
枝のペプチドが、どれくらいの頻度で出ているか?

これで密度を出します。

ちなみにこの方法は、
架橋度って言って化学で使われるものです。

 

では、それで計算したグラム陽性菌の密度は?

なんと、ほぼ100%

グラム陰性菌は、これが2割くらいらしいですから。
陽性菌は、だいぶ高めの密度。

 

これはもう、
グラム陽性菌の細胞壁は、かなりの強度を持っている!

 

ということで、グラム陽性菌の特徴は、

  • とても分厚い細胞壁
  • ペプチドグリカン層の割合が高い
  • 網目構造の密度も高い
  • 細胞壁は、かなりの強度を持っている

ということになりそうです。

 

そしてこの特徴は、
グラム染色に染まる原因にも繋がります。

一方、グラム陰性菌は、
グラム染色で染まらないですよね?

この違いは、どうして生まれるんでしょうか?

 

そうなんです。
特徴って、何かと比較して初めて意味がある。

ということで、
次はグラム陽性菌とグラム陰性菌の違いについてお話します。

 

グラム陽性菌とグラム陰性菌の違い

まずそもそも、
グラム陰性菌とグラム陽性菌は、グラム染色で分類されます。

赤く染まるのがグラム陰性菌。
青く染まるのがグラム陽性菌。

 

この染色性の違いって、外膜があるかないかです。

 

そう、
グラム陽性菌には外膜がありません。
一方、グラム陰性菌にはある。

またそれに伴って、
ペプチドグリカン層にも違いがみられます。

 

ではまず、
グラム陽性菌の細胞壁の構造を見てみましょう。

これでしたね。

次に、グラム陰性菌の細胞壁の構造。

こんな感じです。

見ただけで、わかる違いが2つもありますよね。

それは、

  • 外膜があるかないか
  • 細胞壁(ペプチドグリカン層)の厚み

これが、両者の違いということになります。

 

もう少し詳しくお話すると、

それぞれの架橋度は、

グラム陽性菌 ほぼ100%
グラム陰性菌 約2割

 

そして、
細胞壁全体に対するペプチドグリカンの割合は、

グラム陽性菌 40-70%
グラム陰性菌 数%

 

グラム陽性菌のペプチドグリカン層は、かなり分厚い。

それに比べて、グラム陰性菌の少ない事。

陰性菌のペプチドグリカン層は、確かに少ない。
でも、外膜が作用して、それなりに強度はあるんでしたね。

 

まったく、うまくできてる。

 

と、ここまで来たら、少し思うこと。
違いがあるのはわかったけど、だから何?

 

そうなんです、
違いによって影響されるものがある。
だから、違いに価値ができるんです。

ということで、
次は、この違いが私たちの日常にどう影響しているか。

具体的にみていきましょう。

 

農薬などの抗生剤に対する反応

細菌は、抗生剤に弱いんです。

でもそのなかでも、

  • グラム陽性菌にはガツンと効く
  • グラム陰性菌には効きにくい

 

これはなぜなのでしょう?

 

ちなみに、
抗生剤とは、微生物が副産物として作った化学物質のこと。
農薬の他にも、抗生物質や動物の薬なんかにも使われてます。

医学はド素人です。
 あくまで、微生物学・農学の内容でお話します。

 

まずは、
細菌が抗生剤に弱いというところからご説明します。

 

細胞壁を持つ生物は、
細菌のほかに、真菌(カビや酵母など)と植物がいます。

この3種類のうち、
細菌だけが原核生物。
真菌と植物は、真核生物ですね。

 

また、この細胞壁の成分は、
それぞれの生物で違いがありまして。

細菌 ペプチドグリカン
真菌 キチンやマンナンなど
植物 セルロース(樹木にはリグニンも)

 

そこからさらに細菌は、
グラム陽性菌とグラム陽性菌で違いがありましたが。

ペプチドグリカンは、どちらも共通して持っている成分でしたね。

 

そして、
細菌の場合、細胞壁がないと死にます。
理由は、浸透圧が高いからでした。

 

細菌のこれらの特徴、

  • ペプチドグリカンからできていること
  • 細胞壁がないと死んじゃうこと
  • 原核生物であること

が、抗生剤に弱い原因となっています。

 

例えば、抗生剤には、
ペプチドグリカンの合成を邪魔する作用のものがあります。

 

ペプチドグリカンが作れなくなった細菌は?
細胞壁が作れないですよね。

細胞壁がなくなることは?
細菌にとって致命的。

だって、圧が凄いから。
自爆しちゃうんでしたもんね。

 

でもちなみに、
このペプチドグリカンという成分を、ヒトは持っていません。
ヒトというか、真核生物みんな持ってない。

だから、この成分を作るのが邪魔されても全くノープロブレム。
困るのはヒトの体に入ってしまった細菌だけなんです。

だからヒトは、
抗生剤の副作用が少ないということらしいですよ。

 

副作用が少ないというのは、
ペプチドグリカ生成を邪魔するのは確かだけど、
他には全く作用しないということでは、決してないからです

だから、副作用が無いわけではありません。

 

さて、
細菌が抗生剤に弱い理由は伝わりましたでしょうか?

 

次は、

  • グラム陽性菌には、抗生剤がガツンと効く点。
  • グラム陰性菌には、抗生剤が効きにくい点。

 

これ、なんとなく想像つきますか?
ついてたら、そう、それです。

前にお話した、
細胞壁の中のペプチドグリカンの含有率

グラム陰性菌 数%
グラム陽性菌 40-70%

 

抗生剤は、ペプチドグリカンに作用するんでしたね。

 

だから、
ペプチドグリカンの含有率が高い陽性菌は?
明らかに細胞壁が壊れる。

でも、
ペプチドグリカンの含有率が低い陰性菌は?
他の成分で、なんとかしのげちゃったりします。

 

なるほどそういう意味でも、
グラム染色で2種類に分かれる意味はありますね。

 

ちなみに、
このロジックは抗生剤だけではないですよ。

リゾチームに対する反応も違います。

 

このリゾチームも、ペプチドグリカンを壊すんですよ。
だから、
ペプチドグリカンの含有率が高いグラム陽性菌は倒されます。

しか~し、グラム陰性菌は?
ペプチドグリカンが壊れても、外膜があるのでなんとかやっていける。

 

ね、意外と多いです。
この細胞壁の構造の違いがもたらす事実は。
そして、とっても私たちに影響しまくってましたね。

 

で。
ここまでくると、気になることが。

 

果たして、どんなのがいるのでしょうか?

 

種類はどんなのがいるのか?

では、最後はそれぞれの代表例を挙げていきましょう!

グラム陽性菌の代表例

こんな感じです。

グラム陽性菌
  • 枯草菌(納豆菌)
  • ジフテリア
  • リステリア菌
  • ブドウ球菌
  • 乳酸菌
  • 放線菌
  • アクチノミセス
  • ストレプトミセス
  • 結核
  • ボツリヌス菌
  • 破傷風菌
  • 炭疽菌
  • ライ菌
  • バチルス
  • 黄色ブドウ球菌
  • 連鎖球菌
  • 肺炎球菌
  • 腸球菌
  • クロストリジウム
  • エンテロコッカス  などなど

 

こう見ると、
乳酸菌もグラム陽性菌なんですね。

 

ちなみに、
グラム陽性菌の中に桿菌のグループがあります。
桿菌て、細菌の形が一緒のグループ。

 

そのグラム陽性桿菌の中に、
バシラス属というグループがありまして。

このグループの細菌には、芽胞を作るものがいるんです。

 

芽胞って、熱とかいろんなものに耐性がある。
超やっかいな胞子みたいなもの。

これになられたら、なかなか退治できない。

 

抗生剤に弱いグラム陽性菌ならではの進化ですよね。
って感心してる場合じゃないけど。

では、次はグラム陰性菌。

 

グラム陰性菌の代表例

グラム陰性菌
  • 大腸菌
  • 緑膿菌
  • 赤痢菌
  • 百日咳菌
  • コレラ菌
  • チフス菌
  • パラチフス菌
  • 腸炎ピブリオ菌
  • ヘリコバクター
  • サルモネラ菌
  • プロテウス
  • ジオネラ菌
  • クレブシェラ
  • インフルエンザ菌 などなど

 

こう見ると、
大腸菌もグラム陰性菌なんですね。

病原菌がずらっと。
緑膿菌が蔓延(まんえん)すると大変てききますけど。
なるほど、グラム陰性菌の仲間だからか。

 

ちなみに余談ですが、
グラム陰性菌には、インフルエンザ菌という菌がいます。

これ、毎年大流行するインフルエンザとは違います。
あれは、ウイルスですから。

じゃ、なんでこんな名前なのか?
とっても、かわいそうな過去があるんです。

  1. 1890年にインフルエンザが大流行しました。
  2. 得体が知れない病気で、とにかく原因菌を探してたんです。
  3. 感染した患者の多くから、この菌が分離されたではないか。
  4. そのため、インフルエンザ菌て学名がついたんです。
  5. その後、インフルエンザウイルスが原因だと分かった。

というヒストリーがあります。

 

微生物界にも冤罪(えんざい)があったとは。
でも、学名になっちゃったからか、名前そのまま。

 

とはいっても、
学名なんて、人間が勝手につけて呼んでるだけですし。

間違いだったとはいえ、ヒトに発見されたわけで。

細菌は、今でも何万という未発見の種がいると考えられてます。
そう思うと、世界に広く知られたことはプラスな気もします。

 

ということで、長々話してしまいました。
最後にまとめて終わりにします。

 

まとめ

まず、陰性菌の細胞壁の特徴は、

  • 外膜とペプチドグリカン層が、細胞壁にあたる
  • リボ多糖たっぷりの外膜
  • とっても薄いペプチドグリカン層

一方、陽性菌の特徴は、

  • とても分厚い細胞壁
  • ペプチドグリカン層の割合が高い
  • 網目構造の密度も高い
  • 細胞壁は、かなりの強度を持っている

そして、両者の違いは、

  • 外膜があるかないか
  • 細胞壁(ペプチドグリカン層)の厚み

さらに、これが抗生剤の反応に影響。

  • ペプチドグリカンからできていること
  • 細胞壁がないと死んじゃうこと
  • 原核生物であること

から、細菌(特に陽性菌)は抗生剤に弱い
でも陰性菌は、ペプチドグリカンが少ないので効きにくい

最後に、それぞれの例を挙げました。

病気になるなら陽性菌がいい。。
もうじき七夕。
短冊の1枚は、家族みんなの健康ですな。

 

今回の参考文献はこちら

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