乳酸発酵とは?化学式と反応式で発酵食品の何がわかる?

乳酸発酵とは?
乳酸菌が、グルコースを乳酸に変える反応です。

乳酸菌からしたら、
ただグルコースを分解しているだけ。

そして、分解なら他の微生物もやってる。
食べ物が腐るのも、微生物が分解しているからでしょ?

じゃ、なんで乳酸発酵は、
私たちの食べ物に利用されているんですかね?

なんで、同じ分解なのに美味しいんでしょう?
他の腐った食べ物と何が違うの?

そんな日常の疑問も織り交ぜて、
乳酸発酵を復習してみました。

難しいこと抜きで、でもしっかりやっていきます。

 

乳酸発酵の化学式からわかること

乳酸発酵では、
1個のグルコースから2個の乳酸ができます。

グルコースの全部が、まるまるっと乳酸に変わるんですね。
(乳酸菌の種類によっては、乳酸以外のものも作られる場合があります)

 

乳酸発酵の化学式はこれです。

グルコース → 乳酸

 

グルコースから乳酸だけできるので、
反応の前と後で、重量は変わりません。

両方とも、分子量は180で一緒です。
(原子量は、炭素Cが12、水素Hが1、酸素Oが16。)

 

化学式からわかることは、まるまる乳酸になるってこと。

私の考察力だと、この事実以上に広げられません。

 

でも、例えばアルコール発酵は?
同じ発酵でも、グルコースからエタノールが約半分作られる。
残りの半分は、二酸化炭素になります。

 

だから、学生時代はアルコール発酵が人気です。

でも、大人になってからは逆。
乳酸発酵の方が気になる!って人が多い。

だって、ヨーグルトだとか漬物だとか。
自宅で作れる発酵食品に乳酸発酵が多いし。

 

そう思って乳酸発酵について調べた時、
やっぱり一番知っときたいことがあります。

そもそも乳酸発酵ってなんなんでしょう?ってことです。

 

みなさんは、ご存知ですか?
乳酸菌が乳酸発酵する理由。
実は乳酸を作るのが目的じゃないんですよ。

 

乳酸発酵とは?

乳酸発酵は、
乳酸菌が、酵素を使って、グルコースを乳酸に分解する反応です。

 

なぜ乳酸菌は、グルコースを分解するの?

それは乳酸菌が、
生きていくためのエネルギーを得るためです。

 

このエネルギーというのは、
動いたり、体を作ったりという、生きるための活動に使われます。

つまり、
私たち人間の「呼吸」にあたるのが、乳酸菌の場合は「発酵」なんです。

 

ちなみに、この呼吸と発酵は何が違うか?
それは、エネルギーを作る過程で、酸素を使うかです。

 

そして、乳酸菌の場合、
グルコースからエネルギーを作って、最後に残るものが乳酸。
だから、発酵は発酵でも、乳酸発酵って呼ばれています。

 

 

ちょっとまとめると、

  • 乳酸発酵は、乳酸菌がする、人間でいう「呼吸」のようなもの。
  • 乳酸菌は、グルコースを発酵して乳酸を作るので乳酸発酵。

こんな感じです。

 

それにしても、
乳酸菌て、テレビにも出てる売れっ子菌じゃないですか。
人間は強力なスポンサーですからね。
とうぶんの間は、絶滅の心配がない感じですよね。

 

もちろん、
腸内環境を整える!でおなじみではありますが。

でもおそらく、この人気は、
乳酸発酵をするってのも大きな理由だと思うんですよ。

 

そう、発酵食品。

どうして、発酵食品が昔からこんなに重宝されているのか。
発酵食品の何がいいのか?

 

何が思い浮かびますかね?
いろいろ出てくると思うんです。
多分、私より詳しい方もいると思いますが。。

 

今回は、乳酸発酵なので。
腐りにくい説を。
どうしてチーズなどは、長い間保存できるかご存じですか?

 

それは乳酸菌が、
乳酸発酵によって、他の菌を殺してしまうからなんです。

 

ちょっと詳しくご説明します。

乳酸菌は、発酵菌の中でも大分食いしん坊な菌のようで。
たくさんの栄養素を欲しがります。

つまり、糖分などの多いお菓子の家みたいな環境を好みます

 

具体的には、
Aという乳酸菌の種類は、アミノ酸が必要で、
Bという乳酸菌の種類は、ギ酸が必要で、

といった具合に、
発酵するのにグルコース以外の栄養素も必要なんです。

 

でも、そんなお菓子の家みたいな環境、
もちろん他の菌も大好きじゃないですか。

乳酸菌が生き続けるには、他のたくさんの菌に勝つ必要があります

 

で、勝っちゃうんですね~、これが。
勝っちゃう理由は、
名前についている「酸」にあります。

 

どういう事かと言うと?
乳酸菌は、発酵することで乳酸を作ります。

しかも、グルコースをまるまる全部乳酸にします。
すると、いつのまにか自分の周りは、大量の乳酸だらけ。

 

さて、乳酸は酸性です。
さて、お菓子の家はどんどん酸性の状態になります。

補足すると、
酸性とは、pHというのの値で、アルカリ性、中性、酸性があります。
テレビでも、弱酸性ビオ〇♪ってボディーソープのCMやってるあれです。

 

もちろん乳酸菌は、酸性でも生きていけます。

でも、他の菌はどうでしょう?

普通の菌は、酸性では生きていけないんですよ。
なので、いつのまにか乳酸菌の一人勝ちみたいな状態になります。
(他にも酸性が好きな微生物は共存してます。)

 

そして酸性の状態は、
他の菌が生きていけないので、有害な菌も死んでしまいます

 

そう、これが、人間にとっても好都合。
食品が腐ったり、食中毒になったりしなくて済むんです。

 

こうして、
乳酸発酵は人間の食べ物に利用されるようになりました。

 

これで、

  • 乳酸菌がなぜ乳酸発酵をするのか?
  • 乳酸発酵はなぜ保存がきくのか?

がわかりましたね。

 

では次は、
乳酸発酵はどうやって行われてるのか?
乳酸菌の中では何がおきているのでしょう?

まずは、乳酸菌の中で起こっていること。
これを反応式から簡単にみてみます。

 

乳酸発酵の反応式からわかること

乳酸発酵の反応式はこんな感じです。

そもそも、なぜ乳酸菌は乳酸発酵をするんでしたっけ?
それは、エネルギーを得るためでした。

 

生き物がエネルギーを作る方法は2つあります。

  • 呼吸系
  • 発酵系

どちらも、
有機物を簡単な物質に分解する過程でエネルギーを得ます。

この2つの違いは、酸素を使うか。
使うのが呼吸で、使わないのが発酵です。

 

乳酸発酵の場合、
まず1つのグルコースを2つのピルビン酸にまで分解。
その過程でエネルギーを作ります。

 

ちなみに、
この過程は解糖系といいまして。
呼吸も発酵もここまでは同じです。

なので解糖系は、
私たち人間も含め、全部の生き物が持っています。

 

そして、ここから酸素を使うのが呼吸。
でも、今回は乳酸発酵なので、酸素は使いません。

 

では乳酸菌の中で、
どんなことが起こっているのでしょうか。

 

まず、乳酸菌がグルコースを取り込みます。

先に書いたように、
グルコースは解糖系でピルビン酸に分解されます。

この時に、
エネルギー(ATP)とNADH2が2個ずつ作られる。

 

でもこの解糖系も、NADH2がたまると止まります。
エネルギー(ATP)が作られなくなってしまうんです。
なぜかというと、NAD+がなくなっちゃうから。

 

少し詳しく話すと、

乳酸菌の中の酵素が、グルコースを分解するんでしたね。

 

NAD+とNADH2は補酵素といって、
この酵素を助ける働きをします。

酵素は、補酵素がないと働けないんです。

また補酵素は、
酵素の分解工場と分解工場の間をつなぐ働きもします。
なので、
補酵素がないと次の分解に進めない。

 

発酵って本当によくできていて、
補酵素は、NAD+とNADH2の2つで回しています。

NAD+がNADH2になって、NAD+に戻って、またNADH2になって。。と。

私のイメージでは、
2人の出来のいいバイトだけで、仕事を回してる感じ。

 

そこで、
このたまったNADH2をNAD+に戻す必要がでてきます。

 

どうするかというと、
乳酸菌は、このピルビン酸を還元して乳酸に変えます。

ビールなどを作るときに使われるアルコール発酵をご存じですか?
酵母がするやつなんですけどね。

このアルコール発酵だと、ここが二段階なんですよ。

でも、乳酸菌は直接ピルビン酸を還元できるので。
まー早いですよね、反応が。

 

それには、理由がありまして。

乳酸菌は、
強い脱水素酵素という酵素を持っているんです。

一方酵母は、この酵素がない。
だから遠回りするしかない。

 

まさに、乳酸菌は乳酸発酵するために進化してきたんでしょうかね。
迷いがない、無駄がない!

 

この反応で、
NADH2は酸化されるので、はれてNAD+にもどります。

そして、
NADH2もたまらず、NAD+に再利用されるようになります。

 

補酵素が回るようになれば、解糖系も続けることができる。
発酵を続けることができるってわけ。

 

ちなみに、作られた乳酸は、体の外に出されます。
だから、最後に残る物質なので化学式にも出てきます。

 

これを簡単にいうと、
乳酸発酵は、

  • グルコースをピルビン酸に分解した後、
  • ピルビン酸を乳酸に(還元)する反応です。

 

こうみると、
乳酸は解糖系で作ったエネルギーだけで生きてるんですね。

 

解糖系で作れるエネルギーってどれくらいかご存じですか?

答えは、2ATP。

これって、少ないんでしょうか?

実は、ものすごく少ないんです。

 

仮に、呼吸ができれば、38ATPを作れます。
約20倍のエネルギーを1回で作れる。。

とまぁ、いろいろ疑問に思うんですが。
それは乳酸菌のことで。

今回は乳酸発酵のことなので、置いておきます。

 

さて、反応式から、

  • 乳酸発酵は酸素を使わずにエネルギーを作る方法
  • 強めの脱水素酵素を持っている
  • エネルギーを作ったら、すぐに乳酸にして、解糖系を回せる

ことがわかりました。

 

では、今までのことを踏まえて、
乳酸発酵の食品についてみていきます。

今は、ぬか漬けだけじゃなくて、
ヨーグルトなんかも、手軽に作れたりしますよね。。

 

自分で作って腐らないんだろうか?
そこが、私の中での一番の疑問ポイントだったんですけど。

 

今のところ、
有害な菌は酸性の環境で生きにくい。
ことがわかったので、大分安心してきました。

でも、まだちょっと自分で作るには腰が引ける。
もう一押し、安心材料を求めて。。

長いこと家庭で作られてきた漬物で、安心を探してみます。

 

漬物からわかること

何か昔から、
嫁入り道具にぬか床を持って行ったとか。
ぬか床が家宝なんて家もあるほど。

有名ラーメン屋の秘伝のツユみたいですよね。

 

どうして、そんなぬか床が現れるのか。
ぬか床の中で何が起きているんでしょうか?

 

はっきり言って、
家宝級のぬか床の中は、黄金菌がたくさんいるんですよ。
きっと。

 

食べ物などが腐ることを腐敗(ふはい)といいますよね。
でも微生物にとっては、
腐敗も発酵も同じで「分解」しているだけなんです。

 

人は、自分たちに都合がいい分解を発酵といいます。
そして、都合が悪い分解を腐敗と言っています。

 

なので、簡単な話が、腐敗させる微生物は住みにくい!
でも、発酵させる微生物はうじゃうじゃ住んでる!
そんな感じのぬか床なんじゃないかってことです。

 

今、うじゃうじゃといいましたが、
実は乳酸菌にも種類がたくさんあるんです。

 

乳酸菌て5つのグループがあることをご存じですか?

グループ名 特徴
ラクトバチルス属 ヨーグルトを作る菌。漬物を作るときに働く菌
ビフィドバクテリウム属 ヨーグルト菌で有名な、ビフィズス菌のこと
ラクトコッカス属 牛乳や乳製品でよく働いている菌。乳酸菌飲料を作る菌
ペディオコッカス属 塩分の高い環境でも生きられる菌。味噌、醤油や漬物などで働く
ロイコノストック属 ねばっこい多糖をよく作る菌

 

そしてこのグループの中に、
さらにたくさんの種類の乳酸菌がおります。

どうやら、ヨーグルトなんかは、
何種類かの乳酸菌が協力し合って作ってるようで。

おそらく、家宝級のぬか床も、同じ感じです。

 

ちなみに、乳酸発酵の話なんですが、
ぬか漬けの場合は、乳酸発酵だけ起こすのはむしろ難しいかと。

乳酸菌以外の優良菌も、
ぬか床の味わいを深めているんです。

 

例えば、
漬物といえば、しょっぱ辛いというか。
塩が入っていることは、
漬物を作ったことがなくてもわかります。

この塩も、相当重要なポイントです。

 

前に、酸性の環境は微生物は厳しいと書きました。

実はこの
塩分が多い環境も、微生物を減らす効果があります。

 

ぬか床でキーマン的な存在の乳酸菌は、
酸性OK、塩分OKの発酵菌。

そんな、酸性OK、塩分OKな菌は、
乳酸菌のほかにも、真菌(カビや酵母)の仲間におりまして。

かれらも、ぬか床をより家宝級にすべく、働いています。

 

そして、かれらが作り出す乳酸やアルコール、酢酸。
これらが、ぬか漬けのあの味を作ります。

さらに言うと、
かれらは種類が違えば、作り出す酸やアルコールも微妙に違うとか。

う~ん深い。

 

そして、頑張っている微生物のために、
人間は定期的にぬか床をかき混ぜます。

こうやって、しっかり愛情をかけることで、
なおさら家宝級になるんでしょう。

う~ん、実に深い。

 

さて、ぬか床の中を知ることで分かったことがあります。

それは、

  • 酸に耐えて、
  • さらに塩分に耐える

必要があるってことです。

なかなかの環境なので、相当住みにくいんでしょう。

 

大腸菌なんかは、まず住めません。
私は、これくらいの知識でだいぶ安心できました。

 

ということで、大分長々と書いてしまいました。
最後にまとめて終わりにします。

 

まとめ

まずは、乳酸発酵の化学式のお話。

1個のグルコースから2個の乳酸ができる。

次に、乳酸発酵の話。

乳酸菌が乳酸発酵するのは、エネルギーを作るためでしたね。
そして、
乳酸菌は乳酸を作り、自分の周りを酸性にしてしまう。
これが、有害菌も含む他の菌を殺すので、長期保存が可能。

では、乳酸を作る過程の話になりまして、

反応式を順を追っておさらいしました。

最後に、
ぬか床のミラクルをお話ししましたね。
酸にも塩分にも耐えられる優良菌の宝庫。

 

う~ん、あとはしっかり混ぜてお世話をするだけ。
これさえできれば、
私もぬか床を作ってみたい。

あ!自分のこともろくにできていない。。
実践は、もう少し後になりますかね。

 

今回の参考文献はこちら

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