根粒菌とは?窒素固定やマメ科植物との共生、菌根菌との違い

根粒菌は、普段はごく普通の細菌です。

それがひとたび、
マメ科植物と一緒になると?

  • すごい速さで
  • すごい量の

窒素固定を始めるんです。

しかも、
一緒にいる間ずーっと窒素固定し続ける。
面白いですよね。

人間だったら映画ができそう。
主人公の根粒菌が、ヒロインのマメ科植物に貢ぐ話。。

根粒菌の窒素固定は、とってもユニークで特徴的。

なので、今回は

  • そんな根粒菌の特徴
  • マメ科植物の共生の工夫

をお伝えします。

あと、菌根菌との違いもお伝えします。

基礎も抑えながら、
きっと、根粒菌にちょっと興味が湧くと思いますよ!

 

 

根粒菌とは?

根粒菌は、こんな感じです。

もう少し詳しい話をすると、
この根粒菌は、細菌(バクテリア)です。
細菌なので、原核生物にあたります。

 

原核生物は、ひとつの細胞(単細胞)で生きています。
そして、細胞分裂(スライムみたいに自分を二つに分ける)して増える。

また細菌のからだは、とっても小さい。
でも、有機物の分解とか、
とても大きなはたらきをしている、すごい奴らなんです。

 

窒素固定をする細菌は、根粒菌の他にも、

  • アゾトバクター
  • ネンジュモ
  • クロストリジウム

なんかがよく試験に出ますよね。

これらも、みんな原核生物の細菌です。

 

この根粒菌と他の窒素固定細菌の違いって知ってますか?

それは、
根粒菌は、マメ科植物の根粒の中でしか窒素固定しないってこと。
だから、
共生窒素固定生物とも言われてますよね。

 

根粒菌自体は、共生しないで単独でも土の中で生活できます。
なんですけど、その時は窒素固定をしないんですよ。

 

なんでなんでしょうね??
その答えはまだわからないみたいですが、
これを読むと少し推測したくなると思います。

 

根粒菌の窒素固定って?

まず、窒素固定って何かと言うと、
土の中の窒素を、使いやすいように窒素化合物に換えることです。
(窒素固定について詳しくはこちら

で、根粒菌は実際、こうやって窒素固定をしてます。

ニトロゲナーゼという酵素を使って、
窒素と水素から、アンモニアを作り出す。

窒素固定については大丈夫ですか?

この辺は、ほかの窒素固定細菌と共通する内容です。

では、根粒菌ならではの窒素固定の特徴を3つお伝えしますね。

 

コスパがいい!

根粒菌は、
他の窒素固定細菌より少ないエネルギーで窒素固定ができるんです。

 

1gの窒素を窒素化合物に換えるのに、
他の細菌は100g以上のグルコースが必要なのですが、
根粒菌は10gでいいと考えられてるとか。

同じサービスなら、100円より10円の方がいいですよね。。

ほんと、コスパがいい。
という事は、作れる量も変わってくるんでしょうか?

 

量がハンパない!

根粒菌は、他の窒素固定細菌より、
窒素固定量がハンパなく多いです。

多いと、一年に10a当たり40kgも窒素固定しているとか。

って言っても野菜作らないとイメージできない。。

とりあえず、根粒が十分ついてる状態では、
大豆だと約6割、クローバーだと9割以上を補えるんだとか。

肥料なしで育てられるのは理想的ですよね。
うーん、どうしたら根粒がいっぱいついてるかわかるんでしょう?

 

根粒の中は、レグヘモグロビンで真っ赤!

窒素固定が盛んな根粒の断面は、赤くなっています。
一方、たいして頑張ってない場合は、緑色。

これは、ニトロゲナーゼが関係してるんですけど、

窒素固定に必要なニトロゲナーゼは、とにかく酸素に弱いです。
酸素に触れたら、数分で再生不能になります。

だから、窒素固定細菌はみんな独自の構造を持ってる。
自分の酸素呼吸と、ニトロゲナーゼの両方を守れるように。

 

根粒菌の場合はどうなんでしょう??

根粒菌の場合、
ニトロゲナーゼがある付近は、
レグヘモグロビンの数がハンパなく多いんです。

ヘモグロビンて、人間でも血液中にあって、酸素をからだ中に運ぶ役割をしてますよね。
あれを、根粒菌も持っているんです。

そして、体積の小さなレグヘモグロビンに
少しずつ酸素を入れてせっせこ運びます。
そうすると、ニトロゲナーゼは
酸素を感じないで仕事が出来るってわけ。

 

根粒菌とマメ科植物の共生

まず、共生とは、
お互いにメリットのある同士が一緒に暮らすことです。

片方だけにメリットがある場合は、寄生って言いますよね。

 

根粒菌とマメ科植物のメリットは、

根粒菌は、窒素化合物をマメ科植物にあげます。
代わりに、
光合成産物をマメ科植物からもらって、自分の体をつくってます。

マメ科植物は、光合成産物を根粒菌にあげる。
その代わりに、
窒素化合物を根粒菌からもらって、自分の体をつくってます。

 

こんな感じの共生関係があるんですね。

では、なぜ根粒菌はマメ科植物とだけ共生関係するのでしょうか??
ここでは、マメ科植物と共生するメリットを3つお伝えします。

 

ストライクゾーンが狭い

女性なら、僕には君だけだ的なのって、案外嬉しいものです。

根粒菌とマメ科植物にそんな感情はないですが、
結果的にそんな感じになっています。

 

マメ科植物は、共生しようとする側をしっかり確認することが分かっている。

 

ま、当たり前ですよね。

根粒菌だって、細菌です。
細胞分裂で、一気に増殖できる細菌です。

オレオレ詐欺じゃないけど、
変な細菌が侵入したら植物は枯れちゃいますから。

お互いに信号を出し合って、
確認が取れたら共生を受け入れるとのこと。

 

ちなみに、よく知られていることですが、

マメ科の植物の中でも、
例えば、

  • ダイズにはダイズの根粒菌
  • レンゲにはレンゲの根粒菌

と、共生できる根粒菌に種類があることがわかっています。

間違った組み合わせにしてしまうと、根粒を作らないんです。

という事は、それぞれこの信号が違うのか!?
そこまではわかっていないようですが、ついそんな気がしてしまいます。

 

さて、これで晴れて理想の相手同士で共生が出来ました。
すると根粒を、お互いに嬉しい状態に作り上げます。

お互いの利益を最大にするスペック

根粒菌とマメ科植物が共生するメリットは何でしたか?

 

お互いが作る窒素化合物と光合成産物を分け合うことですね。

なので、それをしやすくするために、
根粒内の輸送の管(維管束)を極太にします。

極太にすると、お互いより簡単に、大量の物々交換が出来ます。

 

と、お互いWIN-WINの関係のようにみえます。
が、どうやら、
マメ科植物の方が若干、主導権を握っている感じみたいなんです。

 

マメ科植物は根粒菌に甘い

最近、以下のことがわかっています。

  • 根粒菌は、マメ科植物からアミノ酸が届かないと窒素固定をやめる
  • 根粒菌は、共生するとリンゴ酸(即エネルギーになる良質な光合成産物)しか食べなくなる

 

これ、ペットに言い換えると、
ご飯をもらなければ何もしないし、そのご飯は超高級ペットフードのみ!

超わがままになっちゃってる気がしますよね。
でも、実はマメ科植物のほうが主導権を握ってるんですって。

 

どういうことかと言うと、
リンゴ酸とアミノ酸を与え続けると、
根粒菌は、窒素固定をしまくって、
窒素化合物をどんどん外に出します。

根粒菌て従順(じゅうじゅん)。。。

と、なんだかどんどん擬人化して説明してしまいましたが、
もちろん根粒菌にもマメ科植物にもそんな感情はないです。

でも、
お互いに生き延びるために工夫してきた結果なんだなって思います。

 

ちなみに余談ですが、
根粒菌と同じように、植物の根にくっついて共生する菌をご存知ですか?

これが、菌根菌という名前なので、名前も紛らわしくて違いを知りたい。
と思うのは、わたしだけでしょうか?

知らないと、根粒菌なのか菌根菌なのか、区別が出来ないと思って。
なので、菌根菌について、簡単にご説明します。

 

菌根菌との違い

菌根菌は、糸状菌という菌です。
(糸状菌についてはこちら!)

糸状菌は、細胞が糸のように繋がった形をしていることが由来。

糸状菌がついた植物の根を菌根といいます。
そして、菌根を形成する糸状菌のことを菌根菌といいます。

 

この菌根菌も、共生ってことは、何か植物にメリットがあるはずです。

 

菌根菌は、菌糸を土の中にクモの巣のように張り巡らせます。
そして、その菌糸から主にリン酸を吸収して共生している植物に供給しています。
(窒素固定する菌根菌もいるみたいです!)

菌根菌の代表的な菌は、

  • アーバスキュラー菌根菌
  • 外生菌根菌

です。

 

アバスキュラー菌根菌は、
ほとんど全ての草と一部の木に共生します。

外生菌根菌は、なんとビックリ、マツタケがそうなんだそうです!
つまり、キノコは菌根菌なんですね。

と、菌根菌のプロファイルをした結果、

共通点は、

  • 植物にとっていい菌である
  • 植物の根に着く

違うところは、

  • 植物に供給する物質が、窒素か、主にリン酸か
  • 共生する植物の種類が、マメ科だけかたくさんか

でしょうか。

 

今後、マメ科植物以外を育てるときは、菌根菌に期待してしまいそうです。

 

なんか、こうやって勉強していくと、菌も楽しいですよね。
もっと、いろいろ書いていきますよ!

それでは、最後に今までのまとめをして終わりにします。

 

まとめ

今回はこんなことをお話してきました。

根粒菌は原核生物である。

マメ科植物の根粒の中でしか、窒素固定をしない。

 

そして、根粒菌だけの特徴が3つありました。

  1. 他の窒素固定細菌の10分の1のエネルギーで窒素固定ができる
  2. 窒素固定量は、他の窒素固定細菌と比べ物にならないほど多い
  3. 窒素固定が盛んな根粒の断面は、赤くなっている

さらに、マメ科植物と共生するメリットを3つお伝えしました。

  1. マメ科植物は、共生相手をしっかり確認してから共生を許す
  2. 輸送の管(維管束)を極太にするので、大量の物々交換が出来る
  3. マメ科植物が、リンゴ酸とアミノ酸を与えると、根粒菌は、窒素固定をし続ける

 

と、根粒菌とマメ科植物の共生メカニズムは、ここまで分かってきました。

また、菌根菌の紹介もしました。
菌根菌は、主にリン酸を供給してくれて、マメ科以外の植物にも共生するんでした。

うーん、何を育てようか、楽しみになっちゃいますよね。

 

今回の参考文献はこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*